浮世絵グラジュエーション

「浮世絵を今も作っている工房があって、どうも見学できるらしい」と友人から連絡があったのが去年の秋。
浮世絵マニアのデザイナー3人と、単なる江戸好きの私とで、目白にあるアダチ版画研究所の摺り実演会に行ってまいりました。
e0023517_741023.jpgいやー興奮した。むちゃくちゃ面白い、浮世絵製作!

浮世絵は木版画ですから、まず「絵師」が原画を描いて、それをもとに「彫師」が木版を作るわけですな。印刷と同じ原理で、1色ずつ版を重ねていくので、色の数だけ木版を作るわけですよ。

そんで絵師が「ここは何色で、ここらへんはちょっくらぼかしてちょ」と指定して、絵師の指定通りに「摺師」が摺っていくわけです。まさに職人技のコラボレイショーン! 日本人ってすげえ。

写真の木版は、小鳥の羽毛のもこもこ感を出すためだけに作られた版。繊細すぎてヨダレが出ます。もうね、ミクロの世界ですよ。

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摺師さんが目の前で、1色ずつ摺っていきます。

まず墨で1回。空のグラデーションで1回。空の濃い色で1回。背景色のうすーいピンクのグラデーションで1回。花の薄紅色で1回。濃い赤で1回。重ね塗りで立体感を出して1回。烙印の朱色で1回。葉っぱの緑で1回。最後に、上の写真の、鳥の羽の立体感を出すために、無色で1回。

いったい何回摺るんだ!ちゅうくらいに何度も何度も摺り重ねていきます。全部手作業。色は4色。道具は「ばれん」のみ。職人さんの腕ひとつで、見事に1枚の和紙から奥行きのある絵ができあがっていきます。こんなに何回も摺り重ねるのに、1ミクロンもズレないのが不思議。

目の前でやってもらってるのに、何が起きているのかちっともわかりません。ばれんの動きが速すぎて、ちっとも写りません。

e0023517_7321455.jpg1時間半の作業でできあがった、完成品。近くでよく見ると、ちゃんと小鳥の羽のところがエンボス加工みたいにもこもこしています。

浮世絵って、江戸時代の古い絵しか見たことなかったんですけど、摺りたてはこんなにカラフルだったんですねえ。さぞや江戸っ子の目を楽しませたことでしょう。しかも、木版画だから何枚でも作れるわけでしょ。すごいシステムだ。そらガイジンも買いあさるわな。

ところで実演会は大盛況で、老若男女50人くらいいたんじゃないかと思いますが、質問飛びまくりでみんなすごい食いつきようでした。その中でロマンスグレーのおじさまが質問してました。

「墨色のグラジュエーションはどうやってやるんですか」

グラジュエーショングラジュエーションと堂々と何度も叫ぶもので、

(それは卒業ですから)

心の中でツッこんでおきました。
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by akiedayumi | 2009-02-16 07:38 | 関東


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